大判例

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武雄簡易裁判所 事件番号不詳 判決

主文

被告人を懲役一年及び罰金五千円に処する。

右の罰金を完納することができないときは金二百円を一日に換算したる期間被告人を労役場に留置する。

証人中村喜惣一、同松原礼三に支給した訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

罪となるべき事実

被告人は賍物たるの情を知りながら

第一、氏名不詳者が杵島郡大町町杵島炭鉱株式会社杵島鉱業所より窃取した鎧板ベルト受ローラシヤフト四本(約八十瓩時価二千八百円相当)を昭和三十六年三月十二日頃同郡大町町新町の被告人居宅より鹿島市大字高津原四一番地佐賀金属株式会社鹿島営業所まで自動三輪車で運搬し

第二、氏名不詳者が前記鉱業所より窃取した鎧板ベルト受ローラシヤフト一本、鎧板ベルト受ローラ二本(約八十瓩時価七千五百円相当)を昭和三十六年三月十五日前記被告人の居宅より佐賀金属株式会社鹿島営業所まで自動三輪車で運搬し

第三、氏名不詳者が右杵島炭鉱株式会社選炭課横作業現場等より窃取した硬ベルトコンベアー解体雑物であるレール製支柱二本(約七十二瓩時価一千八百円相当)を昭和三十六年四月十一日頃前記被告人居宅より佐賀金属株式会社鹿島営業所まで自動三輪車で運搬し

もつて各賍物の運搬をなしたものである。

証拠の標目

一、被告人の当公判廷における各供述の一部(運搬したとの点)

二、杵島鉱業所選炭課永橋宏提出の被害届及び大坪三鶴提出の被害届の一部(該当部分)

三、永橋宏の司法警察員に対する供述調書

四、李順福の検察官事務取扱検察事務官に対する供述調書(昭和三十六年五月十日)

五、中村喜惣一の検察官事務取扱検察事務官に対する供述調書(昭和三十六年五月二日)

六、司法巡査の賍品の写真撮影についてと題する書面及び写真四枚共

七、柳潤戒の司法警察員に対する供述調書(昭和三十六年四月二十八日)

八、笠原武夫の司法警察員に対する供述調書謄本の一部(昭和三十六年四月十三日付)

九、証人中村喜惣一、同松原礼三の当公判廷における供述

十、証人李順福の当公判廷における供述の一部

十一、被告人の司法警察員に対する供述調書(昭和三十六年四月二十七日)及び検察官事務取扱検察事務官に対する供述調書(昭和三十六年五月四日)

を綜合してこれを認める。

前科

被告人は昭和三十四年五月八日当裁判所において賍物故買罪により懲役一年及び罰金三万円(右懲役刑に対しては五年間刑執行猶予)更に昭和三十五年十月十四日当裁判所において同罪により懲役十月及び罰金一万円右懲役刑に対しては五年間刑執行猶予保護観察に付する旨の各判決を受けたもので本件はその猶予期間中の犯行である。

適用法令

刑法第二百五十六条第二項罰金等臨時措置法第二条第三条刑法第四十五条前段第四十七条(判示第二の罪の刑に併合加重)刑法第十八条、訴訟費用の負担につき刑事訴訟法第百八十一条第一項。

弁護人の主張に対する判断

イ  弁護人は本件被告人はその運搬については被告人の妻が買受けた本件物品を同人の依頼によつて運搬したものであるが右妻が賍物であることの情を知つていたとしても被告人が運搬するについては賍物たることは告げなかつたので賍物たるの情は知らなかつた仮りに知つていたとしてもそれは不能犯であると主張するけれども弁護人の主張は理由がない。

ロ  亦弁護人は仮りに被告人の運搬が有罪となつたとしても本件は親族間の犯罪であるから刑法第二五七条により刑の免除となるべきものであると主張するけれども刑法第二五七条は主犯(窃盗犯人)と賍物に関する同条所定の関係ある場合に賍物に関する犯人の刑を免除する規定であつて本件の如く賍物に関する犯人相互間即ち運搬を依頼した李順福が被告人の配偶者であつてもその刑を免除すべきものではないから弁護人のこの主張は当らない。

よつて主文のとおり判決する。(昭和三七年一一月一七日 武雄簡易裁判所)

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